Ag Venture Labビジコン「JUMP」【第7号】
今回はその裏話と今後の展望についてお話したいと思います。
皆さんこんにちはコジマです。
投稿まで時間がかかってしまい、少し前の話になってしまっているのですが、3月に東京に行き、とあるビジコンに参加させていただきました。結果としては「最優秀賞」「JUMP賞」「JA全農スポンサー賞」と3つの賞を頂き、今後も繋いで行けそうなありがたいご縁を頂きました。今回はそんな舞台裏をご紹介しようと思います。
今週のMICHITALニュースでは、不定期に(今週と書いているのですが💦)活動の進捗や樽や林業、テクノロジーに関する豆知識を配信中です。是非ニュースレターに登録し、見守っていただければ幸いです。
学生ビジネスプランコンテスト「JUMP」とは?
まず、ビジネスコンテスト「JUMP」を紹介する前に、そのプログラムを提供しているAgVenture Lab(アグベンチャーラボ)について(勝手に)ご紹介したいと思います。
興味がある方はアグベンチャーラボのスタッフの方がこのビジコンについて説明されているコチラのnote記事もチェックしてみてください。
まず、Ag Venture LabはJAグループの一つで、イノベーションラボです。イノベーションラボと言われても、なかなかつかみどころがなくて困ってしまうのですが、
・「農」や「イノベーション」「テクノロジー」に関する最新の情報を公開するイベントの開催
・スタートアップ企業の成長支援のための実証実験プログラムの提供
・CVC(コーポレートベンチャーキャピタル)として、農林中金イノベーションファンドを通した出資機能
などなど様々な機能を持っている組織です。ご存じない方も多いのではないでしょうか?僕もこのビジコンを知るまでは、失礼ながらアグベンチャーラボの活動を存じ上げませんでした。ぜひ一度チェックしてみてください!
さて、そんなアグベンチャーラボさんが後進育成のために開催しているのが、学生ビジネスプランコンテスト「JUMP」というプログラムです。参加する条件に制限などはなく、全国から広くエントリー可能です。
私たちが出来ることとして、事業化する手前の段階からシームレスに起業家を育成する体制を整え、学生の起業家精神の育成から新規ビジネスの創出までを支援することができると思い、学生ビジネスプランコンテストJUMPを開催しています。
長い選考・短い本番
そんな、JUMPの存在を知ったのは2024年の10月頃でした。だいたいこういうピッチイベントはITだったりAIだったりアプリ開発だったりするのですが、スポンサーにあった「農林中金」の「林」という文字を見て参加をすぐに決めました。なかなか農業や林業、漁業といった一次産業をテーマにしたビジネスコンテストがなかった中でこれを見たときはすごく嬉しかったです。11月に入ってすぐにエントリーをしました。そこから選考が始まりました。

こんな感じのスケジュールでした
書類提出(エントリー)→ブラッシュアップポイントの返却→資料再提出→一次審査(書類審査)→セミファイナリスト選出→二次審査(オンラインでプレゼン)→ファイナリスト決定→オンラインメンタリング(アドバイスをもらう)→本番大会@東京
という具合で選考が進んでいきました。195のエントリーからセミファイナリストは26チームが選出。さらにそこから11チームがファイナリストに選ばれました。倍率でいうと20倍近いので、東京でピッチできたこと自体が非常に光栄なことだったと思っています。しかし、本番はたったの5分しか与えられません。そこにどうやってMICHITALのエッセンスを表現するのか、資料作りは過去イチの難しさでした。
(今思う)ミチタルの価値
「今思う」ということを書いたのは、今後この価値は変わっていくとが自然であり、変えていく必要があるからです。ここでは2025年3月時点でコジマが思っていることを勝手に書いておきます。3つあると思いました。
➀信じていること
僕が樽を作る理由は「森林や林業やそこで働く人たちへの悔しさ」だと思ってます。樽ならそこを変えられる、一石を投じることができる、と信じています。
②開発していること
樽づくりは職人の世界です。「修行しないと樽なんて作れないよ」「君、どこかで修業したの?」などいろいろ聞かれます。でも僕たちの強みは「弟子入りして修行する」ことではなくて「研究して開発する」ことを選んだことです。
③北海道であること
MICHITALのアイデンティティは北海道の森にあります。ワイナリーも蒸留所も盛り上がるこの土地で樽を創りきること。今、北海道で樽をつくることは、ただ樽を作る以上の価値をもたらすことができます。

最近撮った集合写真です。全員の顔が絶妙にひきつってます。
いざ、本番の舞台へ。
上の3つを中心に資料も作りこみ、2週間ほどかけて練習しました。僕が今回意識したことを3つご紹介します。
・審査員の情報を調べまくること(バックグラウンド/出身大学/専攻/経歴/SNSの投稿/交友関係)
・資料を作りこむこと(5分で話しきれる訳ないので、質疑応答という名のアディショナルタイムが重要です。実は補足資料の方が本資料の3倍くらい準備しました)
・原稿は作らないこと(本当に思っていることなら、原稿などなくてもスラスラ出てきます。ないと話せないことは自分が思ってもいないということです。時間感覚だけ把握するためにスライドをめくるタイミングだけは決めて臨みます。)
そして、ピッチの様子はYouTubeでライブ配信されていました。コチラからアーカイブを確認できます。2時間16分くらいから僕たちのMICHITALプロジェクトのピッチがあります。もしよければご覧ください。(下の画像をタップしても飛べます)
ちょっと脱線
せっかくなので他の皆さんの発表も勝手ながら軽~く、ご紹介しようと思います。
PhotoBotAI Photographer 山﨑 七輝さん 東京大学
皆さん、ドライブ中スマホばかり見ていませんか?昔はみんなで景色を楽しんでいたはずです。PhotoBotAIさんはこの感覚を復権させるため、ドライブ中自動で「いい景色」を撮影してくれるサービスを開発されています。
腸内細菌データに基づく個別最適食の提案 BitaP 千葉 のどかさん 東京科学大学
データに基づいて、腸内環境を改善したり体調を整えるための個別最適食を設計・製造されるプロジェクトです。「怪しくない腸活を。」というスローガンが印象的でした。クラウドファンディングなどもチェックしてみてください。
ガラスファイバーを用いた「細菌感染予防・治療システム」の開発と販売事業 GlassMedic 野原 多朗さん 大阪大学 大学院
人工心肺装着の際、体内に管を入れるときに、その管の表面についている菌から感染してしまう「ドライブライン感染」を大学発のガラスファイバーで殺菌できる紫外線を全反射させて予防するものです。医療テックとして非常に興味深い内容でした。
AIとレーザーによるぶどう栽培の省力化ソリューション GrapeX 曲尾 渉さん 東京大学
東京大学の研究を活かしたブドウの生産を自動化するサービスです。ブドウを作る上では摘果と呼ばれる間引きの作業が重要かつ大変らしく、レーザーで焼き切ることによってその自動化を実現されています。個人的に推してます。
中学生のためのスポーツ・文化チームマッチング事業 plastruclub 森下 日菜子さん 神戸大学
指導者不足・教師の労働環境などの観点で縮小傾向にある「部活動」という日本の文化を大学生指導者とマッチングさせることで現代にフィットした「ブカツ」として再定義するプロジェクトをされています。
稲保全のためのジャンボタニシ誘引駬「ジャンタニコイコイ」の製品紹介 QUINT 菊池 拓仁さん 熊本大学 大学院
熊本大学で研究されている博士課程の方で、稲の大敵でもあるジャンボタニシを誘引するエサを開発されています。アグベンチャーの内容にピッタリですごく面白かったです。
ノリで生まれたプラスな事業『アオノリ由来バイオプラスチックの開発』アオノリプラス 佐藤 悠世さん 高知大学
アオノリからバイオマスプラスチックの樹脂を作る技術開発をされています。水に溶けやすく、かつプラスチックと言っても100%天然でアオノリ由来なので健康にも良いとのことです。今までにはないプラスチックの使い方にワクワクしますね。
新卒高校生のための就職支援サービス「ciel」 株式会社Ciel 村上 和隆さん 山形大学 大学院
大学の新卒就活とは全く違う仕組みで動いている「高校生の就活」という領域に注目されプラットフォーマーとして活躍されています。僕自身、高校を卒業して就職は考えなかったので、知らないことだらけのお話で刺激的でした。
マツでミライを変える 株式会社マツノミライ 伊藤 翔馬さん 愛媛県立今治東中等教育学校
なんと、プレゼンしているのは高校生です!誰よりも貫禄があってびっくりしました笑。同じ森林系として勝手に親近感を抱きながら、スピード感・製品開発についても素晴らしかったです。
鹿と生きるを拡散する~解体処理場を鹿のテーマパークに~ しかもしかも 小倉 ことみさん 帯広畜産大学
同じ北海道勢としてとても心強かったです。僕と同級生で、本当に”鹿マニア”なんだなぁ~と話していて思いました。ご自身が鹿の解体もできるらしく、ジビエ好きとしてはいつか捌きたての肉を食べてみたいと思っています。
結果発表...
今回は3つの賞が準備されていました。
優秀賞
(賞金総額100万円。昨年は3チーム、一昨年は2チームが選出され山分けされる)
JUMP賞
(アグベンチャーラボが主催する「JAアクセラレータープログラム」への参加権利。このプログラムは100万円の補助とサポートを受けながら実証実験ができる。これの1次審査が免除される賞)
3企業のスポンサー賞
(JA全農・農林中金・岡三証券のプラチナスポンサーがそれぞれ提供する賞)
果たして結果は...

優秀賞・JUMP賞・JA全農賞のトリプル受賞でした!
なんと、3つ全部頂きました!(しかも優秀賞100万円を単独受賞したのはMICHITAが初めてらしいです)受賞の時はずっと緊張しており、名前が呼ばれたときはびっくりしました。全部の賞の受賞結果はコチラからご覧ください。
総括&今後
今回のJUMPへの出場は非常に有意義なものにできたと思います。この賞はMICHITALに関わる全ての方々、この記事を読み応援してくださっている皆様のおかげで取ることができた賞です。感謝申し上げます。また、今後も頑張ってまいりますので引き続き、ご支援&注目のほどよろしくお願いします!
ピッチの本質は優勝賞金を取ることや外部のつながりをつくることではなくて(もちろん大事ですが)、自分たちで自分を振り返ることにあると思います。
特に5分間で樽業界や森林業界のことなんて知らない人たちに、ミチタルの魅力や僕たちのストーリーを伝えることはむちゃくちゃ難しいのです。「この言い回しで初めてMICHITALを知ってもらえる方に伝わるのか?」「この面白さはどうやったら伝わるのか?」「僕たちは何を目指しているのか?」「この資金計画でビジネスとしてどう評価されるか?」「どんな質問やツッコミが来るだろうか?」などなど、プロジェクト全体の細部にまで気を向けないといけません。この経験ができることがピッチに出る、すなわち人にMICHITALの価値を伝えることの本質だと思います。
人に説明することで、自問自答が生まれ、より世界観とプロジェクトの質が磨かれていく。特に今回はそれを実感しました。
今後はJAアクセラレータープログラムに応募し、次の社会実験に向けて準備しているところです。その実証実験では、大きく言うと「樽の生態系を北海道に創り出すこと」&「林業における今までにないお金の流れを創り出すこと」の2つを実現します。詳しいことはまたの機会にご紹介したいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。すごく手前味噌な記事にお付き合いいただきありがとうございました。
このMICHITALは読者の皆様を含めたくさんの方々の応援で成立しています。僕たちが、自分たちを磨き上げ、評価していただくこと、そしてまたそれを熟成させていくことは僕たちが皆様にできる恩返しの一つだと思っています。
今後とも、MICHITAL一同頑張ってまいりますので、楽しみにしながら応援いただけると幸いです。それでは次のMICHITALニュースでお会いしましょう。代表のコジマでした。
すでに登録済みの方は こちら