アメリカ視察Vol.3【第11号】
いざ、ナパへ。
皆さん、ナパ・バレーをご存じですか?アメリカはカリフォルニア州にある世界的なワインの生産地です。プレミアムワインの代名詞として国際的な評価を確立しています。特にカベルネ・ソーヴィニヨン(Cabernet Sauvignon)やシャルドネ(Chardonnay)といった品種において、卓越した品質とテロワール表現で知られる。
バレー(Valley)は英語で”谷”を意味します。ナパは地名です。現在、ナパ・バレーには400を超えるワイナリーが存在し(北海道は73軒)、職人的な家族経営のものから大規模な商業生産者まで幅広く存在します。サステナブル農法や有機・テクノロジーを用いた栽培の導入も進んでおり、品質だけでなく環境への配慮もナパのワイン産業の重要な特徴となっています。
そんな世界を代表するワイン生産地であるナパへ向かいます!
今週のMICHITALニュースでは、北海道で樽づくりを志すメンバーの日々の活動の様子を配信しております。もしよければ登録の上、更新をお楽しみに!
シリコンバレー~ナパ・バレー

シリコンバレーからナパまで
調べて分かったことがあります。それは...
思ったよりもナパはシリコンバレーから遠いということ。
完全にアメリカの広さを舐めていました。公共交通機関を5個乗り継いで、5時間ほど。140キロの旅路。ここからは一人行動です。あまりにも心細い...
でも、行かないわけにはいきません。決意を固め、旅程を固めていきました。
気を付けるべきこと
長距離の公共交通機関乗り継ぎ一人移動をするにあたって、アドバイスもらったこと、役立ったことを教諭しておきますね。
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Clipper Cardを使うべし。
カリフォルニア州ベイエリアの交通系IC(SuicaやICOCAのようなもの)です。地下鉄もバスも電車もこれ一枚で乗れます。Googlepayでスマホに追加でき、現地で調達しなくてもいいのでおススメです
※チャージしすぎると余ったときに困るので要注意です。僕はまだ15ドル入っています... -
公共交通に乗るときに注意すること
現地に住んでいる友人から教えてもらったことですが
・ホームで線路近くには立たない(線路に突き飛ばされる事件がある)
・ヘッドホン/イヤホンはしない(異変に早く気付く)
・角に立つ(死角をなるべくつくらない)
・スーツケースを持っている時は席に座らない(座っている時にスーツケースをひったくられるらしい)
・ヤバそうな空気が流れたら早めに降りるor移動する
※ビビりな僕には、出発前からオーバーキルでした。 -
スマホは毎回触り終わったら、チャック付きのポケットに入れる

車窓からの様子
バークレー(Berkeley)へ
まず立ち寄ったのが、バークレーという街です。本来は乗り換え予定の中間チェックポイントだったのですが、JALの方から現地でワイナリーを繋いでいただき、急遽訪問させていただくことになりました。
約束よりも早くついたので、周辺をぶらぶらしていると、僕が大好きなアウトドアブランドの「THE NORTH FACE」の創業店があることを知り、寄り道してきました。

ノースフェイスの創業店。現在はアウトレットを扱うショップになっています。
アウトレット品が最大90%offで、円安を加味しても日本の半額以下で買い物ができるので、お土産としていろいろ買いました。ノースフェイスのファンの方がいらっしゃれば是非立ち寄ってみてください!
アポなしワイナリー巡り
まだまだ時間が余っていたので、約束していたワイナリー以外も見てみることにしました。バークレーは街中で住宅街ののですが、ワイナリーが7軒ほど狭いエリアに集中しています。アポなしなので、ちょっと怖かったですが行ってみました。
➀Covenant WINERY

バークレーでは最も名のある&大きなワイナリーだったそうです。
インターホンを押すとオーナーのJeff(ジェフ)が出てきてくれて、話を聞いてくれました。休業日だったのですが特別に中に入れてくれて、見学&インタビューをさせてくれました。
「内部はあまり見せないでくれ」とのことだったので写真はカットしますが、1000樽ほど所有している大きなワイナリーでした。日本にも卸売りしているらしく、樽のこと・ワインのこと・ナパのことなどいろいろ教えてくれました。連絡先も交換し、「分からないこと、知りたいことがあったらいつでも連絡してくれ」「君たちの樽が完成したらうちにもってこい」と言ってくれていました。(笑)

Jeffがお土産として自分で出版している本をくれました。また行きたいです。
②GONKEY&GOAT

左下にあるように街はワイン樽で溢れていました(植木鉢になっています)
ここも休業日だったのですが、先ほどのJeffが繋いでくれて見学させてもらいました。街中の工場のような佇まいで、北海道でよく見る形のブドウ畑+小屋のようなワイナリーとは全く違って新鮮でした。基本的には、ナパの畑で取れたブドウを街(バークレー)に持って来て生産しているようです。

樽の熟成倉庫の様子です。ところ狭しに樽が積みあがっています。
③TESSIER
歩いていると、外から樽が見えたので、タバコを吸っていたオーナーっぽい男性に声をかけると、中を案内してくれました。

小規模で樽は50樽くらいでした。ディナーを楽しめるスペースがありました。

醸造責任者のCathyが詳しく教えてくれました。日本が大好きだそうで、良かったです。
TESSIERは科学的なアプローチを非常に重要視しており、酵母やブドウの酸化についての分析も行っているとのことでした。ミチタルの方向性も理解してくれ、面白がってくれました。
④Hammerling Wines
また周辺をウロウロしていると、さっきのDONKEY&GOATの主人とばったり道で出会い、Hammerling Winesを紹介してくれました。(DONKEY&GOATとHammerling Winesはお隣さんらしく、仲がいいとのこと)「ジャパニーズガイを紹介するよ!」みたいな軽いノリで紹介してくれました。
話に夢中で写真を取り忘れていましたが、ここはワイン造りよりも食事とのペアリングに重視を置いている感じがしました。
いざ、Noria Wineryへ
良い時間になってきたので、JALの方のご縁でお繋ぎ頂いたNoriaWineryさんへお邪魔しました。「NORIA」は、日本人醸造家・中村倫久さんがカリフォルニアで手がけるワインブランドです。
コンセプトは”日本食に合う繊細な味わいのワイン”で、カリフォルニアのテロワールを活かしたワイン造りを行っています。NORIAのシャルドネとピノ・ノワールは、全日空(ANA)の国際線ファーストクラスで提供された実績があります。(JALさんに繋いでいただいたのですが...笑)

ここも所狭しと樽が積みあがっています。全部中村さんが一人で管理されているようです。
色々聞いてくる中で分かったことがいくつも見えてきました。
➀樽は全部フランス産
アメリカなので、アメリカンホワイトオークなども一部使われているのかなと思っていたのですが、全てフランス産のフレンチオークの樽が使われていました。木材がその地で樽になり、その地で使われることは本当にレアケースなのだと思いました。
②ジャパニーズオーク(ミズナラ)は誰も知らない
日本では「世界的に高い評価を得ているミズナラ」と称されていますが、現地の(少なくともワイナリー)生産者は誰一人知りませんでした。「Japanese Oak?それって木材なのか?ジャパニーズウイスキーなら知っているけど...」といった感じで知名度は0でした。開拓の余地ありかもしれません。
③ワインの9割はブドウ栽培(だという認識)
ここは、生産者の哲学が現れるところだと思いますが、ブドウにかける熱意が並外れていました。ブドウの質がワインのクオリティの上限を決めると考える人が多く、樽はあくまで補強という感じでした。逆に香りがつきにくい中古樽や数回使ったものの方が好んで使われていました。
④中古樽が余りまくっている
ブドウ生産が全てであるナパのワイン造りは生産量が上限に達しているようです(ナパの畑を使って栽培できるブドウの総量に限りがあるため)。同じクオリティの物を作り続ける中で、毎年ほとんど一定量の樽が余るようになっているようです。新樽を倉庫に入れる分、古くなった樽は出さないといけません。
そんな中古樽は現状、現地の買い取り業者に一樽40ドル~60ドル(6000円~8000円)ほどで売られており、真っ二つに切られて植木鉢になっているようです。日本にトレーサビリティを保ちながら輸入することができれば数十万円で売れるようなものが、現地で数千円で取引されていることが衝撃的でした。(現在、Noriaさんとお話しながら、事業化する作戦を模索中です。)
バークレーからナパへ
バークレーで合計6軒のワイナリーを訪問し、色々とカリフォルニアワインの現場を知ることができました。話も盛り上がり、予定より2時間ほど遅れてバークレーを出発しました。
今回でアメリカ視察の最終回にしたかったのですが、ナパに着く前にすごい文量になってしまったので、もう1記事分延長してお届けします。最後までお読みいただきありがとうございました。ミチタルの小島でした。
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