初!樽詰め式の現場レポート【特別号】
はじめまして。クボタです。
今年の春から北海道洋酒樽プロジェクトに協力させていただいております。北海道大学農学部2年生で、代表の小島とは1年生からの友達で、学部・学科も同じクラスメイトです。元々コジマとは北大のモノづくりプログラム(北大テックガレージ)で「何かプロダクト(有形なもの)作ってみたいよね~」と話していました。それがきっかけで洋酒樽プロジェクトに関わっています。僕の自己紹介的な部分は最後の最後に書いておこうと思います。今回は、初の樽詰め式の様子をクボタがレポートします!
ミチタル、初満ちたる。
今日(12月20日)が北海道洋酒樽プロジェクトひとつの節目を迎えました。 北海道洋酒樽プロジェクトは本日、樽詰め式を行い、自分たちで作った樽に「商品として価値を持つお酒」を馬追蒸留所様にて注いで頂きました。
これまでに作ってきた樽は見栄えこそ立派だったものの(まだまだ改善の余地ばかりですが...)、お酒を注がれたことはなく、言うなれば展示用樽でしかありませんでした。ですが今日、水漏れ試験などのテストを終え一定の評価を得た樽に、馬追蒸溜所様がウイスキーの原酒をつめてくださいました。忘れられない、記念すべき一日になりました。

樽詰めの様子(赤の村田社長、緑の小島とクリスマスカラーでお届けしています)
馬追蒸溜所について
馬追蒸溜所(MAOI株式会社)は、北海道夕張郡長沼町に本社を置く酒類メーカーです。2020年にはブドウ畑の5000平米から14万平米への拡張や新蒸溜・醸造所の計画を発表されました。2021年には社名を「MAOI」に改め、「馬追蒸溜所」を竣工してフォーサイス社製のウイスキー製造設備を設置し2022年9月からウイスキー蒸溜を開始。ワイン・ウイスキー・ブランデーなどの製造を行っていらっしゃいます。様々なことに果敢に挑戦されている、そんな素敵な蒸溜所様です。
北海道洋酒樽プロジェクトの立ち上げ直後から積極的に協力して頂いており、顧客であると同時に母のような応援者でもありました。私たちにとって最も重要な「(樽ができたら)買いたい!」の一言をずっと言い続けて下さっていました。そのおかげで、自分のやっている活動が価値のある事だと強く信じ続けることができました。本当に感謝しかない、我々とご縁の深い存在でもあります。

馬追蒸溜所様の入り口です。とてもロゴがカッコいいですよね。

地下の蒸留設備のある場所で樽詰め式を行いました。たくさんメディアにも注目頂けました。
樽詰め式の様子
樽詰め式は下のような式次第で行われました。
➀北海道洋酒樽プロジェクトより挨拶(代表:小島 プロデューサー:水嶼)
②F Planing Lab 高橋様よりコメント
③馬追蒸溜所 村田社長より挨拶
④メディアの皆様を含めた質疑応答
⑤記念撮影
このような形で約1時間ほど行いました。
➀北海道洋酒樽プロジェクトより挨拶(代表:小島 プロデューサー:水嶼)
2024年の4月からスタートしたこのプロジェクトですが、この日を目標に今日までやってきたこともあり、代表の小島は胃がキリキリするくらい緊張し、プロデューサーの水嶼はちょっと泣いていました笑。お話した内容は、ここまで応援してくださった方々への感謝と、なぜ樽なのか、MICHITALに込めた想いなどでした。詳しくは第1号にまとめておりますので、こちらの記事をご覧ください。この言葉が印象的でした。
今日、お酒が入り、MICHITALは0を1にすることができました。
これから私たちは、この1を10に、10を100にする。あたらしい挑戦が始まります。
まだまだ道半ばのMICHITALです。引き続き頑張っていきます!
②F PLANNING LAB合同会社 高橋様よりコメント
元ふらのワイン様の醸造責任者で、現在はワインコンサルタントとして活動されている、北海道ワイン界のパイオニアで北海道洋酒樽プロジェクトのアドバイザーでもある高橋様にも樽詰め式に来ていただき、コメントを頂きました。
彼ら(チームMICHITAL)は新しいアイデアを持っているんです。
樽を定量的に焼く。それをAIで判別する。お酒に合わせた樽を作ることができる可能性がある。
この可能性に私は大きく期待しています。
昨年の冬に、無理やりアポを取り、小島と水嶼がふらのワイン様を訪れたときから、高橋様とのご縁が始まりました。このプロジェクトの最大の強みは、技術力でも、アイデアでもありません。”人に恵まれていること”です。高橋様以外にも、たくさんお世話になっている方に樽詰め式に来ていただけました。今後ともお力お貸しください。MICHITALも常に皆さんをワクワクさせ、感動させ、還元できるように頑張っていきます。

たくさんの方々にお越しいただきました。
③馬追蒸溜所 村田社長よりコメント
MICHITALも馬追蒸溜所も、共に成長し、大きくなっていきましょう。
と言っていただけた時、やっとスタートラインに立ったような、認められたような気がして本当に嬉しかったです。 馬追蒸溜所様が私たちのような実績のない樽づくり新参者をここまで応援してくれる理由に、私は社長である村田さんの洋酒業界に対する期待と優しさがあると思いました。
今日は村田さんからウイスキーやワインに関する専門的な知識や業界全体の動向など様々なお話を聞かせて頂きました。その中で私が最も驚いたのは他者の酒造メーカーを仲間と捉えていたことです。私たちはこのプロジェクトを進めていく中で何度もピッチ資料を作成してきました。資料では今後の事業成長やステークホルダーについて触れます。当然、既存の洋酒樽メーカーも「競合他社」として意識し、優位性を考えていかなければなりません。私たちは、その会社をライバルだと思っていました。
酒造メーカーについても同じ事が言えます。お酒の需要は決まっているため、ライバルの数は少ない方が良いはずです。昨今の温暖化の影響で日本の山梨県やフランスのボルドーなど伝統的にワイン産業が盛んだった地域は美味しいワインが作れなくっている現状があります。代わりに今、北海道などの次なる適地で新規にワイナリーつくる動きが広がっています。そこでこの現状を踏まえ、村田さんに今日このような質問をしました。
伝統的強者が居なくなり、新規参入者が増えていくこの状況は、同じくこれから事業を大きくしていく村田さんにとっても嬉しいことではないか?
それに対する村田さんの受け答えは私の予想の逆でした。村田さんは、私の予想と同じような考え方をする経営者が居るということを認めた上で、自分はワイン業界に携わる者を皆仲間だと思っていることを教えてくれました。だからこそ、村田さんは酒造仲間には情報共有もするし、できることがあれば進んで協力もすると仰っていました。この考え方の根底には自分の造るお酒に対する自信もありましたが、ワインをつくる者同士は仲間であり、協力した方が結果的に自分にとっても良い結果として帰ってくるという信念も感じられました。私はこのがっしりとした構え方が、純粋にとてもカッコイイなと思いましたし、これくらい余裕のあるものの見方をしていれば自ずと協力してくれる人も増えていくだろうと思いました。

樽詰めの後、サインをさせていただきました!美味しいお酒になることを祈るばかりです...
④質疑応答
樽づくりでの工夫や、MICHITALの今後の方針などを代表の小島が答えていました。詳しい内容は少しづつ、今後のニュースレターで公開していきます。
⑤記念撮影
集まってくださった方みんなで記念撮影をしました。すごく幸せな瞬間でした。
式が終わると、馬追蒸溜所の離れともいえる、貯蔵庫にお邪魔しました。

歴史を感じる貯倉庫。長期熟成に適した最高の環境とのこと
ロマンの塊みたいな場所でした。作った樽が、5年、10年、30年使われる。そんなものを作る。自信をもって蒸留所・ワイナリーに提供できる樽を作る。樽詰め式が無事に終わり、肩の荷がおりたと思うと、また新しいものを背負った感じがしました。笑
〆のフリートーク
クボタの自己紹介と洋酒樽プロジェクトとの出会いをご紹介します。
冒頭にも書きましたが、小島とは1年生からの友達で、今は同じ学部・同じ学科のクラスメイトです。「一緒に何かモノづくりしたいよね~...」そんな話をしていた中でこの洋酒樽の話を持ち掛けて貰い、事業成長に向けての見通しの良さと彼の林業を収益化し、産業を作りたいという熱意に惚れ、ここまで色々一緒に頑張ってきました。先程「見通しの良さ」と書いてしまいましたが、実際動き出してみると実に多様で沢山の障壁がありました。今思うと何故あの時、今後の見通しが良いなんて思ってしまったのか本当に不思議です笑。その障壁についてもまた次の機会にご紹介したいと思います。

小島が学校の部屋へ行くと、テスト前に寝ていた久保田を撮影した写真です。変な奴です(by小島)
でも当時、コジマが樽づくりについて説明してくれた時の熱量とその時点で既に思いついていた型破りなアイデアの数々は、この先現れるであろう障壁を乗り越えていくことを確信させてくれるような話ぶりでした。そして彼は、その熱い思いによってどんどん協力者を増やし、一人では解決できなかったであろう課題を次々に解決していくのでした。
私たちもこのプロジェクトを進めていく中で多くの自治体や企業の方と関わり、行動には移せていないものの、樽を造れたら良いのにな!!と思案していた人が私たち以外にもいることに気付かされました。私たちはそのような方たちと協力することで、かねてからの願いを叶える実行役のような存在になれたら良いなと考えています。そして村田さんのような、他者と進んで協力関係を構築していくマインドセットを持って活動していきます!
まだまだ小者のクボタでした。よいお年を!!
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