JAL×北大のビジコンでグランプリ!【第2号】

日本航空と北大が共催したビジネスコンテストに応募し、最終選考会がありました。今回はその結果を中心にご報告したいと思います。結論から言うと、優勝(グランプリ賞)を頂きました!どんな提案だったのか、これからについてお話しようと思います。
MICHITAL 2024.12.27
誰でも

コジマです。おはようございます。
寒い日が続いており、札幌は完全に根雪モードです。僕の同級生の中でも体調不良者がぼちぼちと出ており、北海道の冷たい水で手洗いうがいをして、ビクビクしながら生活しています。

今週は、前回のニュースレターの最後で触れたJALと北大のビジネスコンテストについてご紹介しようと思います。夏から始まった長い挑戦がフィナーレを迎えました。今回はその内容も含め、皆様にお伝えしたいと思います。

北の大地で煌めけビジネスコンテスト

前回の第1号でもご紹介しましたが、12月12日に北海道大学で”北の大地で煌めけビジネスコンテスト”の最終選考会がありました。ビジネスプランを競うコンテストですが、書類選考(第一次)→対面選考(第二次)→ブラッシュアップミーティング→最終選考会という具合に選考が進み、最終選考に残していただけました。(実に4ヶ月間の長丁場です)

  「なんで北大と日本航空が?」と思いますよね。実は、北大と日本航空は2022年に連携協定を結んでいます。詳しくはこちらのプレスリリースをご確認ください。    

左:北大 寶金総長 右:JAL 赤坂社長

左:北大 寶金総長 右:JAL 赤坂社長

募集テーマ

今回のテーマは
「JALと共に地域の関係人口を創出する新ビジネス」でした。実は、北大とJALさんの連携協定では、「具体的な協業内容」として以下の文言が含まれていました。

「北海道ワインの振興を目的とした各種取り組みの実践」

これを聞いたときに、MICHITALを絡められるのでは?と思いました。チャンスです!
一方で、『関係人口』『北海道ワイン』『樽づくり』『日本航空』という要素をまとめたプランを提案することの難しさも感じました。

共同戦線-JAL×MICHITAL-

考え抜いた結果、様々な方向で日本航空と僕たちMICHITALは協業し、価値を創り出していくことができると思いました。(たくさんの方々に相談し、アイデアをつまみ食いさせていただきました。)例をご紹介しますね。※決定事項ではありません旨をご承知おきください。あくあでも、アイデアとして評価をいただいたということです。

➀CVC(コーポレートベンチャーキャピタル)としての関わり方
 CVCとは事業会社が自己資金でファンドを組成し、主に未上場の新興企業(ベンチャー企業)に出資や支援を行う活動組織のことです。どうやってマネタイズするかという点で、ここにたどり着きました。ミーティングの際もJALの方々がMICHITALのビジョンに共感し、面白がっていただくことがとても多かったです。最終発表でも、小手先の企画ではなく思っていることを率直にお伝えしました。
 JALには「Japan Airlines Ventures」という、CVCがあり、シーグライダーやバイオテック、フードテックなど海外の最先端ディープテックの分野に投資しています。CVCを保有している企業はなかなか珍しいと思うので、ある意味「JALにしかできない」ダイナミックなMICHITALとのかかわり方とも言えます。洋酒樽ベンチャーは他と比べて浮いている気もしますが、、、そこに負けないように技術力を磨いていきます。(決意表明)

JALの出資するシーグライダーの画像 REGENT Craft Inc.

JALの出資するシーグライダーの画像 REGENT Craft Inc.

②樽制作の点での協力
 我々は、あくまでも森林業の人間であり、木材のプロフェッショナルです。そのため、金属加工に関しては門外漢です。しかし、樽づくりには金属の箍(タガ)が必要不可欠です。今は、素人なりに市販品のリベットで固定しているのですが、耐久性や品質の面では不安が残ります。そこでJALの整備士さんが持つ高い金属加工技術に注目しました。JALの整備士の方々はロケットエンジンの溶接を行っていたり、リベットは飛行機にも多用されているためその道のプロです。
 航空機で使用されているようなハイレベルな素材を箍に用いることで、耐久性と強靭性を向上させ、10年20年使える本物の樽の生産へ近づいていきます。実現できたら最高です。「こういう点で航空会社と樽メーカーが協業できるかもしれない!」という意外な切り口を見つけることができました。

箍のイメージ

箍のイメージ

③機内/ラウンジでの樽出しワインの提供
 これは、日本航空という言葉を聞いたときからあった発想です。大きなお金を生むことにはなりませんが、MICHITALの価値を広めていく上でとても効果的だと思いました。樽出しのワインやウイスキーが新千歳空港のラウンジで、そして北海道への機内で楽しめる。そんな少しリッチで特別な体験を、僕たちと日本航空なら一緒に作っていけると思っています。皆さんに森の香りを届け、木材のストーリーとロマンを味わってもらう。そのためへの大きな一歩です。

機内/ラウンジ/ショップのイメージ

機内/ラウンジ/ショップのイメージ

④ALL北海道ワインツアーの実施
 北海道の”森”で雄大な自然を感じ、”ブドウ畑”で大地を感じ、”樽づくり”というニッチな産業を見学/体験し、特色ある”ワイナリー”を巡る。最後は北海道が誇る”食”とワインのマリアージュを楽しむ。林業・農業の1次産業。樽づくり・お酒づくりの2次産業。その価値を伝える3次産業。全てをつなげるツアーをJALさんと実現させたいとご提案しました。むちゃくちゃロマンありますよね?

実はこのコンテストが告知される前からこの構想はありましたし、ぜひ実現したいと考えています。「旅行・観光」という業界に盤石なノウハウをもつJALさんとなら、必ず良いものが作れると思いましたし、1次産業から3次産業まで通貫した体験価値を生み出すことができれば、関係人口どころか僕たちの理想の1つ「北海道で価値を完結させる」ことができる!最終発表では特段の力を込めてその熱意を訴えました。

プレゼンで試用した資料です

プレゼンで試用した資料です

コンテストで学んだこと

今回のビジネスコンテストは、一次審査(書類選考)の後、二次審(対面プレゼン)、ブラッシュアップミーティング(対面での話し合い)、最終選考会とたくさんJALの方々からアドバイスを頂く機会がありました。また、メールでもやり取りさせていただきました。ビジネスコンテスト自体の目的・JALが参加者に求めているもの・感じている面白さ などなど...こちらが理解しきれていないことを話し合いながら一緒に目線をすり合わせていく時間がとてもありがたかったです。 

それを知った中でMICHITALを見直し、内省する。そして理念はそのままに、JALへアダプトさせ、よりJALの方々・世間の方々に身近でワクワクしてもらえるような切り口を探す。それがどうやったら伝わるか考える。工夫してスライドを作る。発表の練習をする。仲間に見てもらう。これを繰り返す。

ありきたりな話ですが、

彼を知り己を知れば百戦殆からず
孫子

という言葉をとても実感できました。JALのこともたくさん調べましたし、それ以上にMICHITALのおもしろさ、やりたいことも今までよりずっとクリアに言語化することができるようになりました。とってもいい機会になったと思います。

受賞とこれからについて

率直に嬉しい限りです。ビジコンのテーマには「関係人口の創出」がありましたが、新しい産業を作ることがやはりダイナミックで最高の手法だと感じました。この北海道洋酒樽プロジェクトは、ただ北海道で樽産業を作るということよりももっと大きな意味があります。それは、先ほどもご説明したように「北海道で価値を完結させるための最後のピースになる」ということです。プレゼンでも、

私たちが作りたいのは、
「洋酒樽」であり、
森林循環と経済性を両立させる新しい「産業」であり、
ALL北海道ワイン/ウイスキーという新しい「文化」である。
プレゼン用の原稿より

ということを強く、会場の皆様にお伝えしました。この課題意識と解決手法に共感していただいた結果として賞をいただけたと思っています。熱量が伝わって嬉しかったです。

色々と協業の案を提出させていただきました。今後は日本航空様の方で検討していただき、具体的なレベルでお話しできると思います。少し実現までに時間がかかるかもしれませんが、熱を冷ますことなく、一歩ずつ進めていきたいです。

受賞した直後です。唯一の顔が引きつっていない写真です。

受賞した直後です。唯一の顔が引きつっていない写真です。

また、副賞として「シリコンバレーへの招待」を頂きました。来春あたりにアメリカに行ってきます!JALのCVCの出先機関がシリコンバレーにあるらしく、そこを見学させていただきます。また、ナパ・バレーという世界でも最高峰のワイン生産地(DXが最も進んでいる)が近くにあり、そこも見学して樽生産の技術や機械化も吸収して帰ってきます!また、このニュースレターでも現地レポートとして皆さんに様子をお伝えしたいと思っています。

今までとこれから(12月~1月)

とうとう2024年が終わろうとしています。光陰矢の如しですね。

・12月15日:サイエンスフェスタに出展
北大が主催している今年で3回目になるイベント”サイエンスフェスタ”に出させていただきました。北大の研究やアカデミアと市民の皆さんを繋ぐをモットーに12:00からは、ステージに立たせていただき『この木、なんの木、どこ行く木』というタイトルでお話させていただきました。タレントでお笑い芸人で木を愛してやまないオクラホマの河野さん北大森林研究会の本郷さんと僕の3人で1時間半おしゃべりしました。とっても楽しく、あっという間でした。普段の生活でよく見かける木材ですが、なかなか木や林業の話を聞く機会はないと思います。しかし席は満員、後ろの方には立ち見をしてくださっている方々もたくさんいらっしゃって驚きました。会場の皆さんに楽しんでいただければよかったです。樽の話も白熱し30分ほど話させていただきました。また、これをきっかけにニュースレターの読者になってくださった人も多いと思います。今後ともよろしくお願いします。

ブースも作っていただき、チカホを歩く人も足を止めてたくさんお話させていただきました。

ブースも作っていただき、チカホを歩く人も足を止めてたくさんお話させていただきました。

・12月20日:初の樽詰め式の開催
僕たちが作った樽「MICHITAL」に初めてお酒が入りました。今回ご協力いただき、未熟な私どもにたくさんのお心遣いを頂いた馬追蒸溜所様に心から御礼申し上げます。今後は、どんどん樽のクオリティを向上させていき、皆さんに優れた樽を提供できるように邁進してまいります。
詳しくはコチラの特別号をご覧ください。メンバーの久保田君(小島のクラスメイト)がレポートしてくれています。

***

・12月21日:チームMICHITALの忘年会
プロジェクトの構想から1年。立ち上げから8カ月。初めての試作から6カ月。初の樽詰め。2024年は僕たちにとって大きく前に進んだ1年でした。初めは僕と水嶼の二人で始めたプロジェクトですが、今は本当に多くの方が参画・協力していただき、ここまで来れました。2024年の最後に関係者みんなで集まって(一堂に会するのはこれが初めて)楽しい時間を過ごしたいと思います。2024年はお世話になりました!この勢いで2025年も駆け抜けよう!

・1月中:9号機/10号機の製作
今までは、100L・30Lの樽を作ってきましたが、これからは50Lのサイズ感で挑戦していこうと思います。また、樹種も特色あるもので実験していきます。次はチャーリングを行い、ウイスキー樽としての運用を目指しています。今後のプロダクト開発もお楽しみに。

・1月中:自作タガ締め機の製作
僕たちは、「ないものは作ろう」の精神で生きています。その場にあるもので、なんとか騙しだまし成長してきました。(レヴィストロースを見習って歩んでいます。最近ちゃんと本を読みました。)今は、タガ(金属の輪っか)をハンマーでたたいて、樽を締めているいるのですが、グイっと押し込むタガ締め機が欲しいと思っていました。輸入/オーダーメイドすると数百万円ほどかかるらしいです...そこで、樽焼き機を開発した技術チームで作ってみることにしました。そちらの方も年明けから動いていきます。

こんな感じの機械です。これさえあれば、もう一段樽のクオリティを上げられます。

こんな感じの機械です。これさえあれば、もう一段樽のクオリティを上げられます。

〆のフリートーク

私事で恐縮ですが、12月30日で20歳になります。誕生日を迎えるたびに、よくもこの忙しい年末に生まれてしまったなと思うのですが、今日まで育ててくれた両親と家族に感謝です。20歳ということでお酒が飲めるようになります!(逆に今まではお酒を飲めない19歳が洋酒樽を作るという謎の状況だった訳ですが...笑)あまり信じていただけないことも多いのですが、今まで本当にお酒飲んだことはありません。
というのも、初めてのお酒は「父親とサントリーの山崎を飲む」と決めていたからです。父方の祖母の家が大阪の山崎にあり、小さいころからサントリーの山崎蒸留所に親しみと縁を感じていました。そんな生まれと自分で決めたルールもあって、お酒を飲むことなく20歳を迎えます。木材関係や樽関係の人生の先輩方と一緒にご飯を頂く機会も多かったのですが、これからはお酒もご一緒できるということで楽しみです。(周りにはお酒好きの方やワイナリー/蒸留所にお勤めのプロの方が多いのですが、あまり英才教育はしないでください。笑)

ちなみに20歳になる人のお酒が解禁されるのは誕生日の前日の23:59らしいです。(これはその当日のの24:00(00:00)にしてしまうと、閏年に生まれた人がその時刻を迎えられないからだそうです。以上豆知識でした。)

2024年はたくさんの方々に支えられて大きく成長できました。至らないところも多いと思いますが、2025年もMICHITAL一同頑張ってまいりますので宜しくお願い致します。インフルエンザなどの流行病も広がっておりますので、皆さんも体に気を付けてよいお年をお迎えください。

最後までお読みいただきありがとうございました。代表のコジマでした。

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